計算有機化学実験

著者:W.H.Hehre、L.D.Burke、A.J.Shusterman、W.J.Pietro
訳者:園田高明、友田修司、堀 憲次、平山俊一、千住孝俊
アイネック学術出版
ISBN4-900578-14-7  (1996)
3,000円(税込)

1993年Wavefunction, Inc.発行のExperiments In Computational Organic
Chemistryの訳本
原書は絶版。(改訂して、A Laboratory Book of Computational Organic Chemistry)

(まえがき:原文から抜粋 :1993年当時のコンピュータ性能のため、2003年現在の情勢とは大きく異なる記述もあります。現在はWindows PCでもHartree-Fockを超える非経験的な手法を多用可能になっています。)

 この計算手引書には、広範囲に亘る構造有機化学と有機反応論に関する「実験」が種々集められている。
一般の実験手引書と同様に、この手引書では、化学実験を行う際の実際的な経験に基づく知識を提供することが意図されている。もちろんこれまでの伝統的な 実験手引書と異なる点は、ここに述べられている「化学実験」が試薬やガラス器具を用いてではなく、計算機上で、より正確に言えばグラフィックスワークステーション上で、行われる点にある。これ以外の点では、我々が意図することは一般の実験手引書の場合とまったく同様であり、新しい現象を見つけだしたり、あるいは、古くから知られた現象の本質を理解する過程でわき起こる知的興奮の感性を分け与えることにある。

 この手引書の中にある実験は、「構造とエネルギー論」、「コンホメーション」、「分子の性質とスペクトル」、「反応中間体」、および「反応性と選択性」という5つの主題に分類されている。各実験は、問題の要点の説明から始まり、続いて計算化学的アプローチの仕方の提案と計算結果に関する一連の質問からなっている。ほとんどの場合、明確さを保ち、より実際的な問題として計算時間を節約するために、計算はきわめて簡単なものに限られている。量子化学計算が必要な場合は、できる限り、ab initio法でなく半経験的手法を用いた。読者はここで行う半経験的手法用いたいくつかの実験についてab initio法を用いた実験を追試し、計算に要する時間と結果の詳細を比較して、二つの手法の差をより良く理解するように努めて欲しい。

 ほとんどの実験は、2時間ないしは3時間の「通常の実験時間」内に終了するように組まれているが、いくつかの実験はさらに簡単で1時間以内に終了するし、また中には、手が込んでいるためにより長い時間を要するものがいくつかある。さらにいくつかの実験を例外とすれば、ほとんどの実験はワークステーション上で数分から1時間ほどの適当な長さの計算時間を必要とするだけである。すべての実験において実験中ワークステーションに時々アクセスする必要がある。

 この手引書の中の実験は、既存のどの計算機プログラムを用いても行えるが、特にSpartan電子構造プログラムが有するグラフィック環境と計算能力を想定して開発された執権である。

 Spartanが有するオペレーション機能をフルに記述するための努力はまったくなされていない。この点については、別途Wavefunction社から入手可能な「Spartan手引書」と「Spartanユーザズガイド」を参照するようにお願いしたい。